新潟バイオリン教室日記*ハルモニア雑記帳*

新潟と長岡の音楽教室『こどものための音楽の家ハルモニア』の日々のあれこれ

大切に飾ってあげてください 

 

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たまに、壊れたバイオリンに絵を描くことがあります。
バイオリンは楽器ですから、壊れていても直して使用される可能性のあるものには描きません。

バイオリンの修理の技術は素晴らしく、かなり壊れていても綺麗に修理して使用できるようにしてもらうことは大抵できます。大人用のバイオリンのある程度以上の価値のある楽器でしたら、修理することになります。
それ以前に、大人の生徒さんが楽器を壊す、という例は、今まで一回もありませんでした。

問題が発生しやすいのは子供さん用の分数バイオリン。
これは、子供さんが扱うものなので、ご本人や周囲が注意していても不慮の事故で壊れるということがたまにあります。
その時、手間と経費をかけて修理するか?となると、初心者用の量産品の楽器であることもあり、体の大きさに合わせて順次買い換え長く使用する前提のものではないこともあり、修理するという選択肢にならないことがほとんどです。早めに次のサイズに買い換えたり、一時的に教室の楽器をお貸ししてしのぐということになります。

今回のバイオリンは、8分の1の楽器で、置いてあるのをうっかり引っ掛けて楽器が飛び、割れてしまったというもの。
低学年の、勢いのいい子供さんの動きが目に浮かぶような事故です。

楽器は、表板に縦に大きな割れ目が二本。
魂柱の近くを通っているので、魂柱も外れていました。
これを直してまで使うことはないと判断し、次のサイズの楽器までの間教室の楽器をお貸しすることにしました。

割れてしまった楽器がかわいそうで、楽器を見るたびに泣いてしまう、という感性豊かな子供さんのお話に驚き、
それならば、と、壊れた楽器は私の方でしばらくお預かりすることにしました。

「お花の絵を描いて返します、何の花が良い?」とお聞きしたら、「コスモス」というリクエストでした。

それから半年、コスモスの季節になったので、コスモスを描いてお返ししました。
バリバリに割れた二本の割れ目の上には、コスモスの茎を描いて、うまくカバーできたと思います。
直線的な茎のコスモス、良いチョイスでした。

どの部屋に飾ろうか?と、嬉しそうに持って帰ってくれて、よかったです。

壊れたバイオリンだけれど、末長く、大切に飾ってあげてください。
そして、これから出会うバイオリン達は、丁寧に丁寧に扱ってあげてくださいね。

(写真、左は教室に飾ってある第1号「薔薇」、右が今回の「コスモス」です)










category: 音楽教室ハルモニア

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