少し秋の気配

早朝の教室。
カーテンに木の葉のシルエットだけが揺れて。
しんと静か。
ほんの少しだけ秋の気配を感じました。

日中の日差しの強さは相変わらず。
でも、日陰に入ると、あれっ?と思うほど涼しかったりします。
少しずつ秋の空気になってきているのかも。
白山公園の蓮池は、咲いている花もあり、すでに枯れた色の実になっているものもあり。
大いに茂ってはいるけれど、伸びに伸び尽くして、最盛期は越えた感じがします。
こちらも少しずつ秋の気配。

例年秋になると「何か作りたくなる」私も、すでにこんなものを作り始めました。
コースターです。
服を作った残りの小さな端切れを利用して、まさに捨てるものだけで作りました。
真ん中は卓上織り機で織った裂織りです。
とても適当に作ったので、「手作りの味」が濃厚に出てしまっていますけれど、
こういうものは、きっちりできていない方が好きなので、この「ダメなところ」が結構気に入ってます。
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新潟の伝統工芸:漆器

新潟といえば「漆器」
と言っても、そんな話聞いたことが無いと思われる方も多いかと思います。
私もつい最近までそうでした。
半年ほど金継ぎを習っています。
金継ぎは、割れたお茶碗などを漆の接着力で貼り合わせ、継ぎ目を金粉で飾り再生させる方法です。それを教えてくださる先生が、長年新潟漆器の職人をされていらした方で、
その先生から様々な漆の仕事のお話をお聞きするうちに、今まであまり注目していなかった「漆」というもの、
その中でも特に、私たちの街の伝統工芸である「新潟漆器」に興味が出て来ました。
ちょうど「新潟漆器展」が、上大川前通にある新潟市文化財の「旧小澤家住宅」で開催されているのを知り、今日行ってきました。
旧小澤家住宅は、歴史を感じさせる黒板塀の重厚なお屋敷ですが、あまりの暑さに外観の写真を撮るのを忘れました。
しかし、かんかん照りの中思い切って出向いた甲斐がありました。

素敵な新潟漆器の数々。
楽しい眺めです。
興味津々で眺めていたら、新潟漆器組合の方がとても丁寧に説明してくださって感激。
ありがとうございました。

これが新潟漆器の中でも有名な技法「竹塗」です。
私もずっと勘違いしていたのですが、これは竹に漆を塗っているのではなく、
なんと、木を竹の姿に模して削って、漆で竹らしい色をつけているんです。
竹製ではなく。木製なんです。
この技法、もともとは刀の柄(つか)に竹に見えるように細工をしていた技が、
刀を使わない時代になって、他の製品に応用されるようになった、というご説明でした。
刀には何か実用的な訳があったのかもしれません。
でも、いろんなものをわざわざ竹に見せる、これは渋い好みだと思います。
こういった小物の細工のみごとな「竹らしさ」を、愛でたりするのでしょうか。
なんというか、大人の趣味だなあ。

そしてこれは若い作家さんの新しい感覚の作品。
漆と言われても金属に見えるシルバーグレーの作品です。
でも持ってみると、軽い。
不思議な感じです。
(ちなみにこの写真、白黒ではないですよ。リアルにこういう色と質感です)
この作品のような漆塗りの技法は昔からあるものなのだそうで、
同じ塗り方の昔のお弁当箱というものも拝見しました。
お弁当箱はプラスチック製と変わらないほど軽く、しかも使い込まれているのに内側も全然傷んでいないので驚きました。
日常使いしてもすごく丈夫。
しまいこんでおくよりも、むしろ日々使ったほうが長持ちするというのが漆なのだそうです。

私が一番気に入ったのはこれ。
竹と雀の硯箱(写真は部分)。蒔絵です。
なんと可愛らしい雀。
こういう竹の柄の硯箱を、坂口安吾も愛用していたのだとか。

そして、この亀さん。
本物かと見紛うばかり。
背中の子亀が取手になっていて甲羅の蓋が開きます。
洒脱です。
かつて、全国有数の漆器の大産地であった歴史のある新潟。
最盛期にはは100人(※追記有り)もの漆職人さんが新潟にいて、それぞれが工夫を凝らし独自の技を磨いていたのだそうです。
こんな風に多くの技法があるのもそのためで、みんなで仲良く似た感じのものを作らず、良くも悪くも「張り合う」のが新潟の職人さんの気質だったのだとか。
その職人さんも、今は10人くらいだそうで、
技術の継承、漆製品の新しい用途の開発などに力を入れているのだ、というお話を伺いました。
いままで「新潟漆器」の印象が薄かった理由がひとつわかりました。
「新潟漆器」には、とても一つのイメージに括れないほど、様々な技法のものがあるからですね。
とても奥深いものでした、新潟漆器。。。

そうそう、お庭に鶴がいました。
鶴も暑そうでした。(お人形ですけれど)
◇旧小澤家住宅の『新潟漆器展』 は 2016年8月31日まで。
◇新潟市文化財『旧小澤家住宅』 のHPはこちらです。
※追記
お聞きしたお話を元に最盛期の職人さんの人数100人と書きましたが、明治期には400人という解説も見つけました。教えて頂いた100人という人数は、新潟市漆器組合が出来てから、昭和初期の最盛期の組合員さんの数のようです。
詳しくは『新潟市漆器同業組合HP』をご参照ください。
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2016/8/2 長岡花火

雨が降ったり止んだり、お昼過ぎには雷が鳴ったり、と、花火の開催が気がかりな1日でしたが、
花火の上がる1時間くらい前には、地元民の勘で「これなら大丈夫」と思える空模様になり、
美しい夕暮れが見られました。
花火が打ち上がり始めるのは7時15分、
その前の、花火を待ちつつ暮れていく夕暮れの感じが何とも言えず好きな長岡人は多いのではないかと思います。
夕暮れとともに涼しい風が出て来れば、気持ちもよく、
花火も綺麗に見えるのです。
上の写真は、街とフェニックス。
駅の近くからも、こんな風に見えます。
今年のフェニックスは9か所から上がっていたようです。
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長岡まつり たむけの花

長岡花火のたれ幕が駅の中に。
気がつけば、もう明日、明後日が長岡花火です。
長岡祭りは本日8月1日から。
長岡花火は8月2日3日の夜。
第二次世界大戦の長岡空襲の慰霊の花火、という意味があるので、曜日にかかわらず日付は動かないお祭りです。
今年は平日の開催になりますので、週末にかかった昨年までとは違って、
街の中も落ち着いているように感じます。

用があって市役所に来てみると、
市役所の正面に大きくたれ幕が掲げられていました。
8月1日は「長岡市恒久平和の日」
非核平和宣言都市 長岡市
花火ばかりが有名ですが、これが長岡まつりの趣旨、ということですね。
1945年8月1日、長岡市は空襲で市の中心部が大きな被害に遭いました。
夜10:30頃から日付が変わる頃まで続いた空襲で、中心市街地の8割が焼かれ、
1470人の人が命を失いました。
恐ろしい事です。
私の子どもの頃の長岡の記憶にも、その空襲の跡らしきものが感じられる思い出がいくつかあります。
小学校の裏手の敷地内に撤去し残りのコンクリートの建物の土台のようなものが結構広い範囲で顔を出していて、そこを友人たちと掘って遊んでいたら、掘れば掘る程、黒く焦げたようなものがどんどん出て来ました。
掘り出したものを先生に見せに行ったら、「あった場所に埋めて来なさい」と言われたのですが、その時の先生の、怒るというよりは困惑したような恐ろしげな表情がいまだに記憶に残っています。
埋め戻したあと、誰が言い出すでも無く、皆でその辺に咲いていた雑草の花を摘んで上に置きました。
何故そのようにしたのかわかりませんが、子どもたちなりに、先生の表情から何かを感じての事だったかと思います。
そのへんに工場があって空襲が酷かったという話は、当時の大人からも聞いた事がありましたが、あまり実感がなかったのです。今、あらためて調べてみると、やはりその一帯に空襲のターゲットになった軍事工場があって、小学校の校舎も空襲で全焼しているようです。私たちが見たのは、その焼け跡だったのかなと思います。
また、当時住んでいたところの最寄りの駅の横の空き地には、雑草に埋もれるように簡素な墓標のようなものが立ててあり、暗くなるとそこを通るのがちょっと怖かった記憶があります。先日、久しぶりにその駅に行った折に見てみたら、周りは整地され、きちんとした石の慰霊碑になっていました。
その頃は、戦争など、もう過ぎ去った遠い昔の事のように感じていましたけれど、
実は、まだその跡が身近に生々しく残っていたのだなと思います。
私が生まれてから今までの年数より、戦争から当時(私の子どもの頃)までの年数の方が短かったのですから、
あたりまえといえば、あたりまえなのです。

市役所の用事を済ませて出て来ると、小学校低学年くらいの小さな子どもさんが駆け寄って来て、
「長岡空襲で亡くなった人のために、お花を手向けて下さい」
という、子どもの口から出るのを聞くとちょっとびっくりするような言葉とともに、この菊を手渡されました。
これは断る訳にもいかないと思い、
市役所のロビーの一角にもうけられた献花台に向かいました。

お葬式のように、台に置いて手向けるのではなく、「生ける」方式の献花でちょっとびっくりしました。
でも、たしかにこの方がお花も保つし、きれいです。
前には空襲で亡くなられた方々のお名前が。
ほんとうにたくさんいらっしゃるのだ、ということを実感します。

生け花の会の方達主催の献花ということです。なるほど。
訪れる人は皆、お花を一輪生けては、しずかに手を合わせていらっしゃいました。
長岡祭りでは、このような行事も行われているのだと、初めて知りました。
今夜は、空襲の時間10:30に、慰霊の花火「白菊」が長岡の空に上がります。
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